作中で猛威を振るったSPEC 一十一 能力は、一見すると「世界の時間を止める能力」のように描かれていました。しかし、科学的な設定においてその実態は全く異なります。一十一 時間停止 仕組みの真実は、「周囲の時間を停止させている」のではなく、「ニノマエ自身の生体時間を数万倍に加速させている」という超主観時間の高速移動でした。
周囲が止まって見えるのは、ニノマエがあまりにも超高速で活動しているためであり、物理的には彼一人だけが猛烈なスピードで生きている状態です。この能力には致命的な代償が存在しました。能力を使えば使うほど、彼自身の体内時計だけが他者の何万倍もの速さで進むため、寿命が極端に縮んでしまうという過酷なリスクを抱えていたのです。
この「加速しているだけ」という特性を見抜いた当麻紗綾が仕掛けた罠こそが、ドラマ史に残るSPEC 神木隆之介 死亡理由となりました。当麻は上空から雪に見せかけたSPEC クエン酸 毒殺トラップ(塩化ナトリウムや毒物を含む微粒子)を散布しました。時を止めて優雅に歩いているつもりのニノマエは、空中に静止している無数の毒の微粒子を自らの超高速移動によって正面から全身で浴び、呼吸器官から大量に吸入してしまったのです。
さらに、加速状態にある体内では代謝も数万倍のスピードで進むため、毒の巡りは一瞬でした。最強を誇った能力そのものが自分自身を急速に死へと追いやる毒の起爆剤となって絶命するという、知略の限りを尽くした幕切れでした。