本作が提示するのは、現代社会の闇が漂う暗部を舞台にした怒涛のサスペンスドラマだ。物語は、表社会から爪弾きにされた孤独な男たちが、ある巨大な密輸組織の陰謀に巻き込まれていく過程を冷徹かつドラマチックに描き出す。極限状態に追い込まれた人間たちが魅せる血の通った葛藤、そしてラスト15分に待ち受ける予測不能のクライマックス。観る者の感情を揺さぶり、突き放すような衝撃の展開が次々と押し寄せる。
「善と悪の境界線が溶けていく恐怖を描きたかった」。現場の関係者はそう漏らす。地方都市の廃工場や荒涼とした海岸線で行われたロケーション撮影は連日、緊迫感に包まれていた。冬の冷たい雨が吹き荒れる極寒の中、一切の妥協を許さない演技対決が繰り広げられたという。幾重にも重なる嘘と裏切りが交錯するシナリオは、これまでの作品とは一線を画す重厚感を醸し出している。