大斎原で得られるとされる代表的なご利益は、「延命長寿」「心願成就」、そして何よりも「自己再生(魂の蘇り)」です。平安時代、皇族や貴族たちは京都から険しい熊野古道を数百キロ歩き、全身泥まみれになりながら大斎原を目指しました。その過酷な行程は「擬死再生」、すなわち一度これまでの自分を死なせ、神の胎内である熊野で清められて新たな命として生まれ変わる巡礼儀礼を意味していました。
現代においても、大斎原の小祠の前で手を合わせた参拝者からは、「長年引きずっていた人間関係のトラウマが消え去った」「事業の失敗から立ち直る決断がついた」という実直な声が多く寄せられます。日本社会における過度な同調圧力や家族間の共依存関係、職場での心理的摩耗に悩む現代人にとって、日常の境界線を完全に遮断する大斎原の静寂は、健全な心理的バウンダリー(境界線)を再構築する決定的な契機をもたらします。