久能山東照宮の最大の建造物美は、桃山時代の華麗な文化を継承した「権現造(ごんげんづくり)」にあります。本殿と拝殿を「石の間」で繋ぐ構造は、当時の建築技術の枠を集めたものです。
昼間の太陽光の下では彫刻の立体感や塗りの鮮やかさが際立ちますが、夜間のLEDライト照射は全く異なる表情を引き出します。黒漆塗りの壁面に施された金箔、朱塗り、緑青、群青の塗料が、意図的にコントロールされた光を浴びて艶やかに発光します。
特に圧巻なのは、唐門や拝殿の庇(ひさし)下に彫られた緻密な彫刻群です。麒麟や鳳凰、霊獣たちが光の影によって立体的に浮かび上がり、まるで息を吹き返したかのような錯覚を覚えます。彫刻の一つひとつに込められた「平和への願い」が、闇の中で静かに主張し始めます。