暖簾をくぐると視界に飛び込んでくるのは、巨大なおでん鍋の中でぐつぐつと音を立てる飴色の具材たちです。日本橋お多幸本店の看板である関東風おでんは、一般的な関西風の澄んだ昆布出汁とは対極をなす、濃口醤油と上白糖、鰹節、昆布を絶妙な比率で煮詰めた力強い漆黒の出汁が特徴となっています。
大正期に銀座で産声を上げ、その後日本橋の地で独自の食文化を築き上げてきた同店。出汁は単に塩辛いわけではなく、100年以上にわたり毎日継ぎ足され、練り物や牛すじ、野菜から溶け出した重層的な旨味が凝縮されています。鍋底が見えないほど深い黒褐色でありながら、口に含むとまろやかな甘みと芳醇なコクが広がり、後味は驚くほど軽やかです。
東京メトロ銀座線・東西線の日本橋駅B5出口から徒歩1分、JR東京駅八重洲北口からも徒歩5分という抜群のアクセスも手伝い、周辺のオフィスワーカーのみならず、全国の美食家や訪日観光客が本物の江戸前出汁を求めて集い続けています。