館内は大きく「歴史展示」「生活展示」「人権侵害の現実と未来への提言」という3つのゾーンで構成されています。エントランスを抜けると、明治期から昭和後期に至るまでの国の隔離政策がいかにして国民的な偏見を醸成していったのか、公文書やポスター、当時の新聞報道を通じて冷徹に示されます。
なかでも来館者の足を止めるのが、療養所内の過酷な日常を再現した生活展示です。患者たちが実際に使用した特注の義手や日用品、園内だけでしか通用しなかった「園内通用票(独自通貨)」、そして逃亡や反抗を理由に裁判なしで投獄された「重監房(草津・栗生楽泉園の特別病室)」の実寸大模型は、当時の絶望的な孤立を無言で伝えてきます。
かつて全国の国立療養所の語り部たちが直接肉声で語りかけていた講話は、高齢化と逝去に伴い、現在では高画質デジタルアーカイブや特別映像コーナーを通じて体系的に保存・上映されています。「生まれた子どもを抱くことすら許されなかった」「家族に迷惑がかかるからと実家の戸籍から消された」という手記の一節は、文字を追うだけで胸を締め付けられます。
また、年に数回開催される国立ハンセン病資料館の企画展では、回復者の絵画・文学作品に光を当てた芸術展や、隔離と家族の断絶を追ったテーマ展示など、常設展をさらに深く掘り下げる試みが継続されています。展示を見終えた後に2階の国立ハンセン病資料館 図書室へ足を運べば、専門司書のサポートのもと、全国の療養所誌や関係裁判の記録集を手に取ることができます。