事態の引き金となったのは、あるプレミアム公演の千秋楽だった。特別ゲストの登場とドラマチックな演出が重なり、場内のボルテージは最高潮に達した。ここでまず前列の熱烈なファン層が俊敏に立ち上がり、それに引きずられるように中列以降へと波が伝播していった。この一連の動きに関する詳細な経緯解説を紐解くと、客席内の視界遮断問題が急浮上した理由がよくわかる。
着席のままじっくり余韻に浸りたかった鑑賞者にとって、突然の視界塞ぎはストレス以外の何物でもなかった。さらに、演者が舞台上から「立ってください」と促すようなジェスチャーを見せたことも拍車をかけた。演出の一環として組み込まれた起立要求が、自発的な称賛を求める本来の趣旨と食い違ってしまった格好だ。