二人の運命を大きく引き寄せた作品といえば、1985年に公開された『カリブ・愛のシンフォニー』だ。メキシコの雄大なロケーションを舞台に繰り広げられるドラマチックなロマンス。過酷な海外ロケの現場は、二人の距離を急速に縮める舞台装置となった。
灼熱の太陽が照りつけるメキシコでの撮影は、分刻みのスケジュールに追われる過酷を極めたものだった。連日のハードな撮影の中、体調を崩しがちだった松田聖子を、頼もしくエスコートしたのが神田正輝だったという。現場スタッフの証言によれば、神田の気遣いと包容力は殺伐としがちなロケ現場を一瞬で和ませる温かさを持っていた。互いに超多忙な日々を送る中で、異国の地という特殊な環境が二人だけの特別な絆を育んでいったのは間違いない。