脚本家・北川悦吏子といえば、『ロングバケーション』や『ビューティフルライフ』など、甘く切ない純愛物語の第一人者として知られる。しかし本作において彼女が描き出したのは、狂気と執着が渦巻く凄惨な愛憎劇だった。日常のすぐ隣に潜む恐怖と破滅へのカウントダウンが、視聴者を画面に釘付けにした。
物語は、元恋人との偶然の再会から始まる。安定した生活を捨ててまで過去の情熱に身を投じていく主人公たちの姿は、見る者の倫理観を激しく揺さぶった。ロマンス・サスペンスというジャンルにおいて、これほど人間の業(ごう)をむき出しにした作品は類を見ない。