対馬のオソロシドコロを理解する上で外せないのが、島南部で独自に発達した天道信仰(てんどうしんこう)の存在です。天道信仰とは、太陽信仰と山岳信仰、そして修験道や仏教が混然一体となった対馬特有の信仰形態を指します。
伝承によると、飛鳥時代(7世紀後半)、豆酘の地で太陽の光に感応して処女懐胎した女性から、一人の異能の少年が生まれました。この少年こそが、後に超人的な霊力を操り、時の文武天皇の病を平癒させたと伝わる天童法師(てんどうほうし)です。
天童法師は霊山として崇められていた龍良山(たつおさやま)で修行を重ね、入滅したとされています。法師とその母、そして高弟たちの墓所や修行場が結界として祀られた場所こそが、現在のオソロシドコロの起源です。国家の神道体系とは一線を画す、絶海の孤島で独自に進化した強烈な信仰体系が、そこに息づいています。