ふたりの出会いは、ジャズ喫茶や歌番組が若者文化の中心だった1960年代前半にさかのぼる。日米の血を引く異色のシンガーとして熱狂的な人気を集めていたジェリー藤尾さんと、若手実力派歌手として注目を集めていた渡辺友子氏の交際は瞬く間に話題となり、1964年に結婚。二人の娘にも恵まれ、CMやトーク番組で共演する姿は世間の憧れの的となった。
転機が訪れたのは1980年代半ばのことだ。それまで「誰もが羨む理想の夫婦」とされてきた二人の間に、突如として亀裂が表面化する。1985年の離婚成立に至るプロセスは、ワイドショーや女性週刊誌の格好の標的となり、連日のように泥沼の応酬が報じられた。性格の不一致、金銭感覚のずれ、酒癖の問題——。互いの主張が平行線を辿る中、昭和のおしどり夫婦は決定的な破局を迎えることとなったのである。