鬱蒼とした杉林が続く長い参道を歩くと、足元から伝わる大地の冷たさに思わず背筋が伸びる。かつて富士山への登拝は命がけの修練だった。江戸時代に爆発的な広がりを見せた「富士講」の信者たちは、白装束に身を包み、この境内で身を清めてから険しい山頂を目指した。
2013年に「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産の一つとして登録された際、ユネスコ世界遺産委員会もこの地が持つ比類なき精神性と景観美を高く評価した。自然への畏怖と祈りが交差する場所。富士山の度重なる噴火を鎮めるために創建されたとされる歴史は、1900年以上の時を超えて現代へと脈々と受け継がれている。