まず押さえておきたいのが、広漠の読み方は「こうばく」です。難読というほどではありませんが、「こうばく」という音の重厚さも相まって、格調高い文脈で重用されてきました。
語源と由来の詳細を紐解くと、漢字それぞれの成り立ちに明確な意味が宿っています。「広(こう)」は言うまでもなく空間が広大であるさまを示します。一方の「漠(ばく)」は、さんずいに「莫(覆い隠されて見えなくなる)」を組み合わせた文字で、元来は水気がなく草木も生えない砂漠や、見渡す限り静まり返って果てしない様子を意味しています。
つまり、広漠の意味とは単に「面積が広い」ことにとどまりません。「視界を遮るものが何ひとつなく、果てしない広がりの中に静寂や荒涼感が漂っている状態」を指します。中国の古典詩や漢籍においても、人知の及ばない大自然の圧倒的スケールを詠む際に好んで用いられてきた背景があります。