力士の四股名は、誰がどのように決めているのでしょうか。四股名の決め方ルールにおいて、最終的な命名権は所属部屋の師匠(親方)にあります。師匠が力士の体格、取り口、性格、出身地の風土を見極め、将来への願いを込めて考案するのが通例です。
四股名に「山」「川」「海」「島」といった自然を象徴する漢字が多く使われる背景には、江戸時代の相撲文化と深い関わりがあります。当時、力士たちは各地の大名お抱えの武士として庇護を受けており、領地の名山や名川、海原の名を四股名に冠して威勢を示しました。また、自然界の圧倒的な力にあやかり、「山のように動じず、海のように広く深い懐を持つ力士になれ」という祈念が込められています。
さらに、名付けには各相撲部屋が代々受け継ぐ「冠文字」や「四股名の止め字一覧」に見られる様式美が存在します。
- 部屋特有の冠文字:佐渡ヶ嶽部屋の「琴」(琴櫻、琴勝峰)、高砂部屋の「朝」(朝青龍、朝乃山)、出羽海部屋の「海」や「出羽」、木瀬部屋の「志摩」など。
- 定番の止め字:「〜山(富士東、翔猿)」「〜海(天空海、明生)」「〜富士(照ノ富士、千代の富士)」「〜龍(豊昇龍、鶴竜)」「〜錦」「〜風」「〜里」。
また、大相撲のしこなの読み方には独特の響きを持たせる工夫が凝らされており、濁音を含めて力強さを演出したり、呼び出しが土俵上で美しく節をつけて呼び上げやすい音数(5音〜7音程度)で構成されるのが一般的です。