スピッツの詞世界における最大の魅力は、心地よいメロディの裏に潜む鋭利な毒や強烈な生への執着です。「春の歌」において最も聴く者の胸を突くのが、サビのクライマックスに登場する「遮るな 何処までも続く この道を」というフレーズです。
一般的な春のポップスであれば「歩き出そう」「羽ばたこう」といった前向きで優しい言葉が選ばれがちな場面で、草野マサムネはあえて他者や不条理を拒絶するかのような命令形「遮るな」を配置しました。この言葉の意図について、多くの音楽評論家やリスナーが考察を重ねています。
「重い足でぬかるむ道を歩きながら」という描写からも読み取れる通り、この曲で描かれる主人公は決して順風満帆な春を迎えているわけではありません。過去の痛み、泥臭い葛藤、思い通りにいかない現実を抱えながらも、自らの行く手を阻むものすべてに対して「邪魔をするな」と静かに、しかし激しく告げる宣言。この剥き出しの覚悟こそが、聴く人の心の奥底にある孤独な闘争心に火をつけるのです。