本作のラストシーンは、映画ドラえもんシリーズの中でも屈指の美しさと切なさを誇ります。地球へ帰還するドラえもんたちと、月面文明に残るルカたちの別れの構図には、極めて象徴的な仕掛けが施されていました。
エスパルたちが暮らす月の裏側の世界は、「異説クラブメンバーズバッジ」を身につけている者にしか認識できない異説の世界(想像力の世界)です。バッジを外せば、そこは空気もない荒涼とした本物の月面に戻り、お互いの世界を行き来することは二度とできなくなります。
別れ際、のび太たちは自らバッジを外し、ルカたちの世界に蓋をしました。これは決して仲間を見捨てる行為ではありません。悪意ある侵略者や第三者からエスパルたちの平穏な生活を永久に守るための防壁であり、「離れていても想像力の中でずっと繋がっている」という強い絆の証明でした。二度と会えないからこそ、ルカたちが人間として生きる一日一日が尊いものへと昇華されています。