実在の歴史から現代のエンターテインメントへと舞台を移しても、隻眼が持つ求心力は衰えるどころか、さらに洗練された記号として君臨している。歴代の名作を振り返ると、人気を牽引する主要人物の多くがこの特徴を備えていることがわかる。
国内外で熱狂的な支持を集める代表的な隻眼キャラクター一覧を見渡すだけでも、その層の厚さは一目瞭然だ。
- 『ベルセルク』:ガッツ(苛烈な運命のなかで右目と左腕を失いながら巨大な剣を振るう復讐者)
- 『NARUTO -ナルト-』:はたけカカシ(友から託された「写輪眼」を左目に宿し、普段は額当てで隠す凄腕忍者)
- 『ONE PIECE』:ロロノア・ゾロ(修業期間を経て左目に深い傷を負い、さらなる覇気を纏った剣豪)
- 『BLEACH』:更木剣八(眼帯で膨大な霊圧を封じ、戦いそのものを愉しむ最強の死神)
- 『どろろ』:百鬼丸(魔神に身体を奪われ、義眼や義肢を駆使して戦う異形の主人公)
特に近年のダークファンタジーの潮流において決定的な役割を果たしたのが、石田スイ氏による大ヒット作『東京喰種トーキョーグール』に登場する「隻眼の喰種(グール)」という設定だ。人間と喰種の混血、あるいは後天的な施術によって片目だけが赤く染まる「赫眼(かくがん)」を発現させた主人公・金木研は、2つの世界の狭間で苦悩しながら圧倒的な力に目覚めていく。
作中で絶対的なカリスマとして描かれる「隻眼の王」という概念も相まって、隻眼は単なるビジュアルの装飾を超え、「2つの相反する境界に立つ選ばれし存在」「過酷な試練を経て覚醒した究極の強者」を象徴するメタファーとして機能している。