平成10年(1998年)は、日本のCD市場が史上最高の年間生産枚数(約4億5,000万枚)を記録した、メガヒット連発の「音楽バブル頂点」の年でもあります。
CD市場の爆発とメガヒットの連続
街中のCDショップに行列ができ、シングル曲が次々とミリオンセラーを突破しました。年間オリコンチャートのトップを独走したGLAYは『誘惑』『SOUL LOVE』を同時リリースして1位・2位を独占。L'Arc〜en〜Cielもシングル3枚同時リリースを敢行し、ヴィジュアル系ロックが一大ムーヴメントを築きました。
さらに、SMAPの国民的アンセムとなった『夜空ノムコウ』、Kiroroの珠玉のバラード『長い間』、Every Little Thingの『Time goes by』など、エバーグリーンな名曲が数多く誕生しました。
「宇多田ヒカル」登場の衝撃
そして12月9日、当時わずか15歳の宇多田ヒカルがシングル『Automatic / time will tell』でデビュー。本格的なR&Bのリズムと圧倒的な歌唱力は音楽業界関係者に留まらず全国に衝撃を与え、日本のポップミュージックの構造を一変させました。翌年発売の1stアルバム『First Love』へと続く歴史的快進撃の幕開けとなった瞬間です。
当時のカルチャーと流行語
若者カルチャーでは、安室奈美恵の産休入りを経て「コギャルブーム」が深化し、ガングロや厚底ブーツ、ルーズソックスが渋谷を中心に街を染めました。連絡ツールはポケベルからPHS・携帯電話へと急速にシフトし始め、ショートメッセージ文化が芽生え始めた時期です。
流行語大賞には、お笑いコンビ・パイレーツの「だっちゅーの」が年間大賞を受賞。プロ野球を盛り上げた佐々木主浩投手にちなんだ「ハマの大魔神」、小渕恵三首相の評価を象徴した「冷めたピザ」などが選ばれ、激動の世情をユーモアや皮肉とともに彩りました。