選ばれた天才のみが足を踏み入れることができる極限の集中状態「ゾーン」。赤司征十郎は自らの意思でゾーンの扉を開くことができる数少ないプレイヤーのひとりですが、彼が真に恐ろしいのは人格によってゾーンの性質が根底から異なる点にあります。
冷酷な「僕司」が発動するゾーンは、自らの身体能力と天帝の眼を極限までブーストさせた「完全無欠の個の制圧」でした。コート全域をひとりでカバーするほどの驚異的な守備範囲を誇り、オフェンスでは誠凛高校のマークを寄せ付けず、独力で点差を広げていく圧倒的なワンマンショーを演じました。
しかし、誠凛の黒子と火神の連携によって「僕司」が破られた後、本来の「俺司」が復活したことで赤司のバスケは真の完成形を迎えます。俺司が発動したゾーンの真骨頂は、自分自身が突出することではなく、「チームメイト全員をゾーン一歩手前の極限状態へと引き上げる」ことでした。
味方プレイヤーが最も力を発揮できる角度、回転、タイミング、ミリ単位の狂いもない完璧なパスを供給し続けることで、チーム全体のパフォーマンスを爆発的に底上げします。洛山高校の「無冠の五将」たちが、赤司のパス1本で最高のポテンシャルを解放し、チーム全体が覚醒していく様は、司令塔(ポイントガード)としての理想形そのものでした。「個の力」で支配する僕司と、「組織の力」を極限まで高める俺司。この両面を経験したからこそ、赤司は作中最強クラスの司令塔として君臨し得たのです。