国民的カップルが結婚に至らなかった最大の理由は、「結婚後の女性の生き方」に対する価値観の決定的なズレにありました。
当時、郷ひろみとその実家サイドには「妻には芸能界を引退し、家庭に入って夫を支えてほしい」という昭和の伝統的な家族観が根強く存在していました。郷ひろみ自身も、結婚するならば家庭をしっかり守ってほしいという願望を抱いていたとされます。
対する松田聖子は、デビューわずか数年で時代のトップアイコンへと登り詰めた稀代のアーティストです。歌に対する情熱とプロ意識は人一倍強く、「結婚しても歌を辞めたくない、生涯歌い続けたい」という強い意志を曲げませんでした。愛する人の妻になりたいという乙女心と、表現者としてステージに立ち続けたいという野心の間で、激しい葛藤が続いていたのです。