鎌倉エリアには数多くの和食店や海鮮料理店が存在するが、なぜこれほどまでに特定の店舗へ人が殺到するのか。その理由は「網元直営」という揺るぎない背景にある。自前の船で相模湾へ出で、自分たちの手で引き揚げた魚を、目と鼻の先にある店舗でそのまま調理する。この垂直統合された最短ルートに妥協はない。
通常の流通ルートを通る生しらすは、氷で冷やされ輸送される過程でどうしても細胞が傷つき、苦味や臭みが出やすくなる。しかし、港直結の環境であれば、身が白く濁る前の「真の透明」な状態で客席へ届けることが可能になるのだ。器の中でキラキラと光を反射するその姿は、海と厨房が直結しているからこその芸術品と言える。