SNSやネット掲示板などで散見される典型的な誤解が、「総面積が広い県ほど開発余地があり、生活空間にゆとりがある」という言説です。しかし、国土保全や都市工学の視点から検証すると、必ずしもそうとは言い切れません。
高知県や長野県のように、県域の80%前後が険しい急傾斜林野で占められている地域では、実際に市街地や農地として利用できるスペースは極めて限定的です。急峻な山岳地帯に集落が点在する場合、土砂災害リスクへの対策費用やインフラ維持費が平野部よりも大幅に高騰します。
逆に、埼玉県や千葉県、茨城県のように、総面積はコンパクトでも可住地割合が6割から7割に達する地域は、都市機能の集約と効率的なインフラ配備が可能です。「都道府県のスケール」を評価する際は、カタログスペック上の総面積だけでなく、「平坦地の比率」と「人口集積度」の掛け合わせで評価することが不可欠です。
【プロの結論】自治体経営と地域創生における「面積」の捉え方
地域開発や移住・企業拠点の選定において、面積データをどう読み解くべきか。都市政策の観点から導き出される明確な判断基準は以下の通りです。
- 広大・山林多層型地域(岩手、長野、高知など)を選ぶべきケース:再生可能エネルギー発電、大規模林業、大自然を活用した観光業、プライバシーを確保した広域ワーケーション拠点の構築。
- 平野集中・高可住地型地域(茨城、群馬、栃木、愛知など)を選ぶべきケース:大規模物流センターや先端製造業の工場進出、生活利便施設へのアクセスコストを抑えた定住・子育て環境の確保。