浅野支店長というキャラクターがこれほどまでに人々の記憶に残っているのは、演じた石丸幹二の圧倒的な表現力による部分が大きい。単なるステレオタイプの悪役ではなく、エリートとしてのプライド、上からのプレッシャーに怯える中間管理職の悲哀、そして家族を愛する一人の父親としての素顔が多面的に描かれていた。
特に印象的だったのは、半沢に追い詰められた彼が見せた狼狽ぶりだ。プライドをズタズタにされながらも、必死に自己弁護を繰り返す姿に、視聴者は嫌悪感を抱くと同時に、どこか「自分も一歩間違えればこうなるかもしれない」という恐怖を感じた。彼もまた、巨大な銀行組織という怪物に呑み込まれた犠牲者の一人だったのだ。