かつてローラン・プティやモーリス・ベジャールといった巨匠たちに愛された草刈民代。彼女の動きは、常に重力からの解放を思わせるものだった。今回の写真集で見せるのは、その跳躍の瞬間ではなく、むしろ「静止」の中に宿る爆発的なエネルギーだ。背筋の一本一本、指先のミリ単位の角度にまで神経が行き届いている。見る者は、彼女がかつて舞台上で見せた伝説的なパ・ド・ドゥを想起せずにはいられない。
「年齢を重ねることは、表現の引き出しが増えること」。かつて彼女が語った言葉が、そのままビジュアルとして具現化されたかのようだ。シワや筋肉の陰影さえもが、彼女の生きてきた軌跡を語る雄弁なストーリーテラーとなっている。