本作が昭和の一過性のヒットに終わらなかった証左として、時代を彩った数多のトップ歌手によるカバーが挙げられます。昭和の歌姫・美空ひばりをはじめ、三橋美智也、フランク永井、八代亜紀、ちあきなおみ、石川さゆりといった名歌手たちが、それぞれの解釈でこの曲を吹き込んできました。
ちあきなおみによるカバーでは、港の夜風の冷たさを思わせる研ぎ澄まされたリアリズムが前面に押し出され、八代亜紀は持ち前のハスキーボイスで帰還を待ちわびる女心の切なさを強調しました。さらに平成から令和にかけても、氷川きよしや福田こうへいといった実力派演歌歌手たちがステージで取り上げ、若い世代へそのメロディを伝承しています。
現代の音楽コミュニティやSNS上での評判を検証すると、「メロディの美しさに惹かれて聴いたが、引き揚げ船の歴史的背景を知って胸に刺さった」「田端義夫の原曲が持つ、乾いた明るさの中に潜む哀しみが最も胸を打つ」といった声が多く見られます。過度な装飾を削ぎ落とした田端の歌唱スタイルが、かえって現代のリスナーに本物の迫力として響いていることが窺えます。