「漢方薬は天然由来の生薬だから副作用がなく安全」という認識は完全な誤解です。防已黄耆湯にも医薬品としてのリスクが存在し、服用者の体質や基礎疾患によっては重大な有害事象を引き起こす可能性があります。
日常的に起こりうる初期の副作用
最も頻度の高い副作用は消化器系の症状です。胃腸が極端に虚弱な人が服用した場合、配合生薬の刺激により以下の症状が現れることがあります。
- 軟便・下痢:利水作用や胃腸刺激により便が緩くなる。
- 胃部不快感・胃もたれ・食欲不振:生薬のエキスが胃粘膜を刺激して生じる。
- 発疹・かゆみ:生薬に対するアレルギー反応。
軽い軟便程度であれば体が慣れるにつれて治まるケースもありますが、激しい腹痛や水様便が続く場合は直ちに服用を中止しなければなりません。
注意すべき重篤な副作用「偽アルドステロン症」
防已黄耆湯に配合されている「甘草(カンゾウ)」に含まれる主成分グリチルリチン酸は、過剰摂取や長期連用によって偽アルドステロン症を引き起こすリスクがあります。副腎から分泌されるアルドステロンが増えていないにもかかわらず、体内にナトリウムと水が溜まり、カリウムが尿中に排泄されてしまう病態です。
初期症状として、手足のだるさ・しびれ・筋肉の脱力感・つっぱり感(ミオパチー)、さらには血圧の急上昇が現れます。防已黄耆湯のほかにも、風邪薬、胃腸薬、咳止めシロップなど多くの一般用医薬品に甘草が含まれているため、知らず知らずのうちに複数薬を併用してグリチルリチン酸の過剰摂取に陥るケースに厳重な警戒が必要です。
さらに極めて稀なケースとして、息切れや発熱を伴う「間質性肺炎」や、皮膚や白目が黄色くなる「肝機能障害」の報告もあります。服用開始後に全身の倦怠感や呼吸困難を感じた場合は、速やかに医療機関を受診してください。