調剤薬局のカウンターやSNS上での医療相談を分析すると、「風邪の初期に喉の痛みを感じて葛根湯を数日間飲み続けたが、熱感が強まり喉が焼けるように腫れ上がって受診した」という事例が頻発しています。
都内の耳鼻咽喉科クリニックの診療実績データによると、急性扁桃炎や咽頭炎で来院した患者の約38%が、受診前に市販の葛根湯を自己判断で服用していました。そのうち過半数が「喉の赤みが増して痛みが引かなかった」と回答しています。これは、日本人の生活習慣として「風邪=葛根湯」という固定観念が刷り込まれ、病態の鑑別が置き去りにされている実態を浮き彫りにしています。
特に春先や秋口など、空気の乾燥とともにウイルスが上気道粘膜に直接付着して炎症を起こすタイプの感染症では、悪寒を伴わずにいきなり喉の痛みから発症するケースが大半を占めます。この「風熱型」の初期段階で葛根湯を選択することが、治癒を遅らせる最大のトラップとなっています。