公式な記録としてギネス世界記録に認定されている歴代最高齢者は、フランスのアルルに生まれ育ったジャンヌ・ルイーズ・カルマン(Jeanne Louise Calment)です。彼女は1875年2月21日に生まれ、1997年8月4日に息を引き取りました。認定された確定生存期間は122歳164日(44,724日)に達します。
彼女が生きた時代背景を振り返ると、その長さは圧倒的です。1888年、アルルに滞在していた無名時代の画家フィンセント・ファン・ゴッホが実家の布地店に画布を買いに訪れた際、彼女は直接対面しています。後年の特番インタビューで記者からその印象を問われたカルマンは、「非常に無愛想で、お酒臭くて、近寄りがたい人物だった」とユーモアを交えて回想し、世界中のメディアを沸かせました。
100歳を迎えた際にも自転車に乗り続け、110歳までアパートで一人暮らしを謳歌していた彼女は、公の記者会見で長寿の秘訣を問われるたびに、いたずらっぽく笑いながらこう語っていました。
「たぶん神様は、私のことをすっかり天国へ呼ぶのを忘れてしまったのね」
晩年に施設へ移ってからも、彼女の茶目っ気と精神的な余裕は失われませんでした。取材陣が「また来年お会いしましょう」と声をかけると、「ええ、どうしてダメなの? あなたはそれほど体調が悪そうには見えないけれど」と切り返し、周囲を笑いに包んだという取材秘話が残されています。120歳を超えてもなお、知性と自尊心を失わないその姿は、単なる肉体的な頑丈さを超えた特異な生命力を物語っていました。