改定の最大の焦点となったのは、精密な地形データに基づいて再計算された溶岩流シミュレーションの結果だ。従来の想定に比べ、火口となり得るエリアが広範囲に拡大。想定される溶岩の噴出量も約2倍へと引き上げられた。
富士山から噴き出す溶岩は、粘り気が少なくサラサラとした玄武岩質である。冷え固まることなく、時速数十キロで斜面を駆け下るケースも否定できない。新たなシミュレーションによると、山梨県側の富士吉田市や静岡県側の富士宮市、富士市といった主要都市の中心市街地に溶岩が到達する推定時間は、これまでの想定よりも大幅に短縮された。場合によっては噴火開始から2時間足らずで幹線道路や鉄道網が寸断されるリスクが示されている。
さらに溶岩は、東海道新幹線や東名高速道路、新東名高速道路といった日本の大動脈に到達する可能性を持つ。単なる地域災害にとどまらず、日本列島の東西物流が完全に分断されるシナリオが現実味を帯びて描き出された。