ドラマ『GTO』における新川優愛の役柄・上原杏子は、明修学苑2年4組において強い影響力を持つグループのリーダー格でした。物語序盤で描かれた中川大志演じる同級生・吉川昇に対するいじめの手口は、肉体的・精神的な追い込みを含め、学園ドラマの枠を超えるほど過激な描写の連続でした。
金銭の要求や私物の損壊にとどまらず、弱みを握って心理的に屈服させる冷酷な眼差しは、観る者に強い戦慄を与えました。当時の制作現場関係者の回想録によると、新川本人はカメラが回る直前まで共演の中川大志に対して「本当にごめんなさい」と何度も謝罪を重ねながら、本番では一切の甘えを捨てて徹底的な冷血漢になりきっていたと伝えられています。
しかし、上原杏子がなぜそこまで他者を傷つけるモンスターと化してしまったのか。その深層には、家庭崩壊と大人に対する深い不信感がありました。エリート志向で世間体ばかりを気にする冷淡な母親と、家庭を顧みない父親という「機能不全家族」の中で育ち、誰からも本質的な愛情を受け取れなかった寂しさが、弱者への攻撃という歪んだ形で表出していたのです。
鬼塚英吉(AKIRA)が彼女の自宅へ乗り込み、冷え切った両親の部屋を隔てる壁をハンマーで叩き壊す名シーンによって、杏子は初めて自らの抱える孤独と向き合いました。ただの悪役で終わらず、傷ついた少女が再生していく過程を繊細なグラデーションで演じ分けたことが、新川優愛の評価を一気に押し上げる契機となりました。