日本のポップカルチャーにおいて「スーパー戦隊シリーズの黄色い戦士はみんなカレーが大好物」という認識は、もはや共通常識のように語られています。バラエティ番組のコントや後発のアニメ作品でも、黄色担当のキャラクターがカレーを食べるパロディが幾度となく繰り返されてきました。
しかし、特撮史の一次資料を精査すると、この定説は完全な都市伝説・認識の錯覚であることが判明します。
ゴレンジャーから始まる半世紀近くのスーパー戦隊シリーズにおいて、明確に「大好物がカレーである」と設定されたイエロー戦士は、驚くべきことに片手で数えるほどしか存在しません。代表的な例外としては以下の通りです。
- 『超獣戦隊ライブマン』(1988年):イエローライオンこと大原丈がカレーを好む描写が見られる。
- 『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003年):拠点「恐竜や」の名物がカレーであり、アバレイエロー(樹らんる)も食べるが、これはチーム全員共通の食事。
- 『特捜戦隊デカレンジャー』(2004年):デカイエローこと礼紋茉莉花(ジャスミン)が特定の激辛カレーを好むシーンがある。
むしろ、『太陽戦隊サンバルカン』(1981年)でカレー好きとして描かれたバルシャーク(鮫島兵馬)は青色の戦士でした。つまり、「戦隊の黄色=カレー」という強烈な刷り込みは、初代キレンジャーの残したキャラクターインパクトがあまりにも巨大すぎたために、後続の数十作品の事実を上書きしてしまったメディア社会学的な認知バイアスの一種なのです。