私たちが日常的に利用するエレベーターは、建築基準法によって構造や安全設備、換気基準などが厳格に定められている。さらに、高齢者や障害者の円滑な移動を促進するバリアフリー新法の施行以降、車いす使用者用操作盤や後方確認用ミラー、音声アナウンスの設置が標準化された。
ここで見落とされがちなのが、鏡の本来の目的だ。奥の壁に設置された鏡は身だしなみを整えるためのものではなく、車いす利用者が後進で降りる際の後方確認用である。鏡の前に立ちふさがって視界を遮ったり、車いすスペースを荷物で塞いだりする行為は厳に慎まなければならない。多様な人々が混ざり合う都市空間だからこそ、設備の本来の意図を正しく理解した行動が求められる。