グラウト工事の成否は、材料のポテンシャルだけでなく厳格な施工管理に直結します。現場で実践される標準的なグラウト材の施工手順は次の通りです。
第1工程は下地処理(チッピング・清掃・吸水)です。打設面のレイタンスや油分を完全に取り除き、目荒らしを行った後、十分に散水して湿潤状態を保ちます。下地が乾いているとグラウトの水分が母材に急激に奪われ(ドライアウト)、接着不良や硬化不良を引き起こすためです。
第2工程は型枠の設置とシール処理です。グラウトは水のように高い流動性を持つため、わずかな隙間からでも漏れ出します。型枠の継ぎ目には止水テープやシーリング材を徹底し、空気抜き穴(エア抜き孔)を最上部に必ず設けます。
第3工程は練り混ぜと配合比の厳守です。メーカー規定のグラウトの配合比(水セメント比)を厳密に計量し、ハンドミキサーやグラウトミキサーを用いてダマがなくなるまで十分に攪拌します。水量を現場の判断で増やしてしまうと、硬化後の圧縮強度が激減し、ブリーディング(余剰水の浮上)による空隙の原因になります。
第4工程は注入・流し込み作業です。グラウトは必ず一方向から連続して注入します。両側から同時に流し込むと内部で空気が閉じ込められ、致命的な空洞(巣)が残るためです。注入後は適切な湿潤養生を行い、初期硬化時の急激な乾燥を防ぎます。