本作の恐ろしさは、メインの軸を担うキャストだけでなく、周囲を固めるバイプレイヤーたちの癖の強さと演技力にあった。例えば古川琴音。彼女が演じたミツキの異様で狂信的な佇まいは、一度見たら脳裏から離れないインパクトを残した。現在、あらゆるジャンルの作品で唯一無二の異彩を放つ彼女の才気が、この時点で既に爆発していたのだ。
黒島結菜の毅然とした存在感、萩原利久の屈折した感情の機微、さらには坂東龍汰や吉川愛が見せたリアルな若者の焦躁。彼ら一人ひとりが役に血を通わせたからこそ、単なる密室ミステリーを超えた「青春の群像劇」としての深みが生まれたのである。