タイトルにもある「心中」という言葉。それは単なる心中立ての心中ではない。「落語という芸能そのものと心中する」という、八雲の凄まじいエゴイズムを指している。自分の一代限りで落語を終わらせようとするその執念は、美しくもあり、同時に恐ろしい。
芸の道に命を捧げる男の姿は一見美談に見えるが、その陰で置き去りにされる周囲の人間にとっては溜まったものではない。次世代へ繋ぐことを拒み、自分が愛した世界を道連れに死の淵へ潜ろうとする姿。それは圧倒的な自己愛であり、他者を寄せ付けない孤独の狂気だ。この浮世離れしたエゴイズムに対し、倫理的な反発を覚える視聴者は少なくない。