この異世界のような岩窟には、平安時代の高僧・弘法大師にまつわる言い伝えが静かに残されている。大師がこの崖を自ら彫り進んで修練の場とした、あるいは堂宇を建立したという伝説だ。崖の窪みにひっそりと佇む「虚空蔵菩薩堂」は、今も地域の人々の厚い信仰を集め、霊場としての厳かな雰囲気を放っている。
こうした歴史的伝承と類まれな地質学的価値が認められ、1943年に文化庁の前身制度のもとで「国指定天然記念物」に指定された。単なる観光地にとどまらず、地球の歴史を物語る学術的遺産としても極めて貴重な存在であり、保護と活用が両立された奇跡のスポットなのだ。