巻き戻るカセットテープの音を覚えているだろうか。恋人を目の前で殺された男が、時間を巻き戻せる不思議なテープレコーダーを手にする。運命を変えようと、男は何度も過去をやり直す。「次こそは助けられるはずだ」という切実な願い。しかし、タイムリープを繰り返すたびに、事態は少しずつ、だが確実に最悪の方向へとズレていく。
画面に散りばめられた伏線は鮮やかだ。壁の時計の針の刻み、登場人物のふとした視線、そして微かに変化する環境音。初見では気付きようのない些細な違和感が、物語の終盤で一気に回収される戦慄。ラストシーンで突きつけられる現実は、救いなど一切用意されていない絶対的な絶望だ。やり直せばやり直すほど、逃れられない罠に自らハマっていく。あの幕切れに漂う後味の悪さこそが、今なお語り草となっている理由である。