被災直後、インターネット上では様々な憶測や誇張が飛び交いました。代表的な誤解が「多摩川が決壊して街全体が濁流に飲み込まれた」「武蔵小杉にある10棟以上のタワマンがすべて停電・水没した」という言説です。
第一に、多摩川の堤防は一切決壊していません。川の水があふれ出たのではなく、下水管を通じた逆流による浸水であり、濁流による物理的破壊ではなく静水圧による冠水でした。
第二に、武蔵小杉駅周辺に林立する約15棟のタワーマンションのうち、長期停電や深刻なライフライン途絶に見舞われたのは実質2棟のみでした。被害を免れた他のタワーマンションでは、敷地盤面がわずかに高かったことや、防潮板・止水扉が機能していたこと、あるいは電気室が地上2階以上に配置されていたことによって、通常稼働を継続していました。全タワマンが一様に脆弱だったわけではなく、個々の建物のランドスケープ設計と設備配置の差が明暗を分けたのが実態です。