看板アナウンサーたちの退局には、それぞれ異なる明確な転換点とドラマが存在する。
『ニュース7』や『クローズアップ現代+』のキャスターを長年務め、NHKの絶対的エースだった武田真一アナの退職理由は、大阪放送局への異動を経て迎えた「50代での人生の再設計」だった。組織の枠を飛び出し、民放朝の情報番組『DayDay.』のMCへと大胆な転身を遂げた姿は、中高年層のキャリア自律の象徴的なモデルケースとなった。
一方、堀潤アナの早期退職は、情報発信のあり方を巡る局とのスタンスの違いが契機だ。2011年の東日本大震災および原発事故報道を機に、SNSを活用した市民視点の即時発信を模索したが、公共放送の規定との間で葛藤が生じ、自ら退路を断って独立。市民メディア『8bitNews』の立ち上げなど、独自のジャーナリズムを確立した。
また、「麿(まろ)」の愛称で絶大な人気を誇った登坂淳一アナの退局経緯は、フジテレビ夕方ニュースのメインMC就任を控えた2018年1月の独立であった。移籍直前に週刊誌による過去のハラスメント疑惑報道を受け番組を降板する憂き目に遭ったが、真摯な活動を通じてバラエティ番組やナレーション、YouTubeへと活動領域を広げ、確固たる再起を果たしている。