エンリコ・プッチが目指した「天国」とは、全人類が自らの未来を予知することで絶望を克服するという、異彩を放つエゴイズムであった。時間の加速に伴い、生身の人間は刻一刻と迫る死を認識しながら動くことすら叶わない。その猛威の前に、エルメェスやアナスイ、ウェザー・リポートの遺志を背負った一行は次々と倒れていった。
この圧倒的な理不尽の中で見せた仲間たちの連携と犠牲は、ダーク・ファンタジーとしての作品性を最高潮へと押し上げた。荒木飛呂彦が紡ぎ出す容赦のない展開は、読者に強いショックを与えたが、同時に命の重みと尊厳を強く浮き彫りにしたのである。