万が一、自身や家族、ペットの傷口にウジ虫を発見した場合、パニックによる誤った対処は事態を悪化させます。絶対に避けるべきなのは、家庭用のエアゾール式殺虫剤を人体やペットの傷口に直接吹き付ける行為です。殺虫成分の毒性や噴射剤による化学熱傷が加わり、組織障害を劇的に悪化させてしまいます。
自宅で実施できる安全な初期処置は以下のステップに限られます。
- 1. 大量の流水洗浄:清潔な生理食塩水、または水道水の流水を患部にたっぷりとかけ流し、表面に付着している幼虫や膿を物理的に洗い流す。
- 2. 表面の幼虫を優しく除去:目視できる範囲で浮き上がってきた幼虫のみを、清潔なピンセットや濡らしたガーゼで優しく取り除く。奥深くに潜り込んだ個体を無理にほじくり出すと血管や筋膜を傷つけるため深追いは厳禁。
- 3. 清潔な保護と即時受診:湿らせた滅菌ガーゼを軽く当てて乾燥と外気接触を防ぎ、直ちに皮膚科、形成外科、または救急外来を受診する。
医療機関では、局所麻酔下での徹底的な洗浄や、外科用剪刀(ハサミ)や鋭匙を用いた幼虫の摘出が行われます。必要に応じて駆虫薬(イベルメクチンなど)の外用・内服、広域抗菌薬の点滴投与、さらには破傷風トキソイドの接種など、全身管理を含めた包括的治療が展開されます。