苦悩に満ちた私生活の一方で、俳優としての古尾谷雅人さんが遺した功績は日本エンタメ史において燦然と輝いています。神奈川県川崎市出身の古尾谷さんは、1970年代後半にデビュー。長身で彫りの深い顔立ちと、どこか影を感じさせる独特の佇まいで瞬く間に注目を集めました。
古尾谷さんの名を不動のものにしたのが、1980年の主演映画『ヒポクラテスたち』(大森一樹監督)です。医大生の葛藤を生々しく演じ切り、ブルーリボン賞新人賞やキネマ旬報主演男優賞など名だたる映画賞を総なめにしました。さらに1983年の映画『丑三つの村』では、津山三十人殺しをモチーフにした凄惨な事件の主人公・犬丸継男役を演じ、狂気と哀愁が入り混じる圧倒的な怪演で映画史にその名を刻みました。
テレビドラマにおいても幅広い名演を披露しました。『北の国から '89 帰郷』での印象的な客演をはじめ、1990年代には堂本剛さん主演の実写版『金田一少年の事件簿』シリーズにて、主人公の頼れる良き理解者である剣持勇警部役を好演。視聴者から親しみと絶大な支持を獲得しました。
なお、ネット検索では『名探偵コナン』の「目暮警部」や『3年B組金八先生』といったキーワードと関連づけて調べられることが多々あります。これは『金田一少年の事件簿』での剣持警部という当たり役の印象から、同じ人気推理作品の目暮警部と混同されて検索されたり、同時代のTBS系名作学園ドラマの系譜として語られたりするためです。実際に出演した数々の名バイプレイヤーとしての足跡が、今も多様な形で視聴者の記憶に残り続けています。