イカ天が爆発的な人気を獲得した最大の要因は、土屋圭市氏をはじめとする審査員陣による忖度なき辛口審査と、独特のエンタメ性にありました。ドリフトキングの異名を持つ土屋氏に加え、稲田大二郎氏、そして軽妙な実況と解説で場を盛り上げる「マナピー」こと鈴木学氏らが審査員席に並び、走りを容赦なく値踏みしました。
当時のイカ天ドリフトにおける審査基準とルールは、シンプルながら極めて過酷なものでした。
- 単走審査:進入スピード、角度の鋭さ、振り返しの速さ、そしてクリッピングポイントへの正確なアプローチを総合評価。
- 辛口ジャッジ:スピンやコースアウトはもちろん、姿勢を乱してふらつく「タコ踊り」は即座に失格・減点対象。土屋審査員からの「帰れ!」という怒号や愛のあるダメ出しが名物となりました。
- 出場資格:基本的にはナンバー付きの合法車両(またはそれに準ずる安全装備を備えたマシン)を持ち込むアマチュアの走り屋たち。事前書類選考を通過した猛者だけが本戦のグリッドに立てました。
電子計測器が存在しなかった時代だからこそ、土屋氏らの「プロの目」によるダイナミックな判定が絶対的な権威を持ちました。単に滑らせるだけでなく、ギャラリーを沸かせる「魅せ場」を作れるかどうかが勝敗を分ける。この独自の美学が、参加者の技術を急速に磨き上げる原動力となったのです。