地中から姿を現したモアイ像の体には、地上に出ている風化した頭部からは想像もつかないほど、細やかで美しい装飾が残されていました。土の中に守られていたことで、雨風による風化を免れ、約数百年前の彫刻刀の跡が鮮明なまま保存されていたのです。
特に注目を集めたのが、腹部の上で綺麗に揃えられた「手の形」です。細長く伸ばされた指先がおへその周りを包み込むように配置されており、独特の様式美と神聖な儀礼のポーズを想起させます。指の関節や爪のラインまで繊細に表現されている像もあり、当時の石工たちが極めて高度な彫刻技術を持っていたことを物語っています。
さらに研究者を驚かせたのが、モアイ像の背中や臀部にびっしりと刻まれていたペトログリフ(岩面彫刻)です。そこには「マロ」と呼ばれるふんどし状の伝統衣装の帯や、三日月形の文様、そして後期のラパ・ヌイ文化で重要な役割を果たした「鳥人(タンガタ・マヌ)信仰」を象徴するレリーフが刻まれていました。これらの彫刻は、モアイ像が単なる石の塊ではなく、身にまとう衣装や神聖なシンボルまで忠実に再現された存在であったことを明確に示しています。