国母和宏の影響力は、彼自身の足跡だけに留まらない。オリンピック金メダリストである平野歩夢との絆は、日本スノーボード界における最も深遠な師弟関係として知られている。幼少期から平野の才能をいち早く見抜き、海外のアライアンスや過酷な撮影現場へと引き上げたのは国母だった。
「高難度の技だけではなく、己の生き様を滑りに込めろ」。国母が背中で示し続けた美学は、平野歩夢の圧倒的なライディングの中にも脈々と生きている。世界を制した平野のエアの高さとブレない軸は、先駆者が血を流しながら切り拓いた道の先にあるものだ。