日本国内で発生し、連日メディアのトップニュースとなった逃亡劇の中でも、特に社会へ大きな衝撃を与えた2つの事件を検証します。いずれも逃走手口と逮捕の経緯において、従来の想定を覆す要素が含まれていました。
1. 松山刑務所大井造船作業場脱走事件(2018年)
愛媛県今治市にある松山刑務所大井造船作業場は、受刑者の自立を促すため「塀のない刑務所」として知られる開放型施設です。2018年4月8日夜、当時27歳の受刑者が施設から姿を消しました。
逃走犯は作業場付近の民家から車を盗んで瀬戸内海の向島(広島県尾道市)へと逃走。捜査員が島内に集中投入される中、犯人は空き家の屋根裏などに潜伏し、防犯カメラに映らないよう夜間に移動を繰り返しました。逃走犯の潜伏期間は23日間に及びましたが、最終的には海を泳いで広島市内に上陸したところを、通行人からの通報を受けた警察官により身柄を確保されました。開放型施設の信頼を揺るがした本事件は、受刑者選考の厳格化と施設管理の見直しにつながっています。
2. 大阪・富田林警察署逃走事件(2018年)
同年8月12日夜、大阪府警富田林警察署の面会室から、強盗致傷などの容疑で勾留されていた当時30歳の男が逃走しました。弁護士との接見終了後、アクリル板を足で押し破って隙間を作り、警察官が確認を怠った数十分の間に署外へ脱出するという前代未聞の手口でした。
男は盗んだ自転車を使って「日本一周のサイクリスト」を装い、四国から中国地方へと移動。旅行者や地元住民と記念撮影を行うなど堂々と潜伏生活を続けました。逃走から48日後の9月29日、山口県周南市の道の駅で万引きをしたところを警備員に取り押さえられ、指紋照合によって身元が特定・再逮捕されました。警察署の管理不備とアクリル板の強度不足が厳しく批判された事件です。