過酷な富良野ロケが何年にもわたって続けられた現場では、キャスト陣の間に本物の家族以上の強い絆が結ばれました。その中心にいたのが、黒板五郎役を演じた故・田中邦衛さんと岩城滉一です。
元々バイクチーム「クールス」の副リーダーとして芸能界入りし、アウトローな魅力を持っていた岩城滉一に対し、田中邦衛さんは現場で常に温かい眼差しを向け、実の弟のように可愛がっていました。芝居に悩む岩城に対して余計な口出しはせず、ただ黙って背中で演技の深さを教え続けた田中さんの姿勢に、岩城は終生にわたって深い敬意を抱き続けています。
撮影の合間には、田中邦衛さんを囲んでキャストやスタッフが富良野の寒さを酒と語らいで凌いだという数々の秘話が存在します。草太が亡くなった後のシーンで五郎が見せた鬼気迫る慟哭の演技には、役柄を超えた田中邦衛さん自身の岩城滉一への情愛が色濃くにじみ出ていました。