東京タワーの高さは海抜ではなく地上高333m(アンテナ先端部含む)です。この数字を聞くと「覚えやすいように333mにしたのでは?」と思われがちですが、実態は極めて実用的な電波工学上の要請によるものでした。
建設が計画された1950年代半ば、日本はテレビ放送の黎明期を迎えていました。NHKや各民間放送局が個別に電波塔を乱立させると都市景観を損ねるだけでなく、視聴者がチャンネルごとにアンテナの向きを変えなければならないという不便が生じていたのです。そこで持ち上がったのが、すべての電波を1カ所から発信する「総合電波塔」の建設計画でした。
当時の技術において、関東一円(半径約100km圏内)にくまなく電波を行き届かせるシミュレーションを行った結果、最低限必要とされた高さが約320mでした。さらに、タワー自体の揺れや将来的なアンテナ増設、台風・地震時の安全マージンを構造計算に組み込んだ結果、最終的に導き出された数字が「333m」だったのです。当時の世界一であったパリのエッフェル塔(当時約312m)を抜き、世界一の自立式鉄塔として君臨するという誇りも込められていました。