臨床倫理4分割法を導入した病院や訪問看護ステーションからの実務データや現場の声を集約すると、顕著なメリットと同時に運用の壁が浮き彫りになります。
急性期病棟に勤務する主任看護師は、専門誌の取材や病棟報告書の中で次のように述べています。
「以前はカンファレンスを開いても主治医の独演会になり、看護師は『胃瘻をすると拘束が増えてかわいそう』という感情論しか言えませんでした。しかし4分割表をホワイトボードに投影して議論するようになってからは、看護師が収集した『患者が生前大切にしていた生活習慣』を【患者の意向】【QOL】の枠組みに提示できるようになり、医師も耳を傾けてくれるようになりました」
一方で、SNSや臨床コミュニティの生の声では、形式主義への警鐘も鳴らされています。
- 「4分割表の空欄を埋めることが自己目的化してしまい、肝心の患者の顔が見えなくなっているカンファレンスが散見される」
- 「【周囲の状況】の欄に『病床稼働率が逼迫している』など医療機関側の都合が書き込まれ、意思決定が誘導されそうになった」
ツールはあくまで対話の補助輪であり、記入すること自体がゴールではないという共通認識をチーム全体で保つことが不可欠です。