料理名にある「ディアボラ(Diavola)」とは、イタリア語で「悪魔の」あるいは「悪魔風の」を意味する言葉です。トスカーナ地方やローマ近郊を発祥とする悪魔風チキンイタリア料理(Pollo alla Diavola)は、元来は鶏肉を丸ごと開き、強火のグリルや薪窯で一気に焼き上げるダイナミックな郷土料理として知られています。
なぜこの料理が悪魔と呼ばれるようになったのかについては、食文化史において主に3つの有力な説が存在します。
- 形状説:鶏肉を真ん中から左右に開き、平らに押し広げて焼いた姿が「悪魔のマント」や「悪魔の顔」に似ていることから名付けられたとする説。
- 火力説:業火(地獄の炎)を連想させるほどの強火で、皮が焦げる寸前までパリッと香ばしく焼き上げる調理法に由来するという説。
- 味付け説:粗挽き黒胡椒や唐辛子を大量にすり込み、食べた瞬間に口の中が赤く燃え上がるような辛味を悪魔の仕業に見立てた説。
本場イタリアの古典的スタイルは唐辛子やマスタードを効かせたスパイシーな仕上がりが主流ですが、サイゼリヤが提示したディアボラ風チキンは、この伝統をベースにしつつも大胆なローカライズを行いました。刺激的な辛味をあえて抑え、玉ねぎみじん切りソースの自然な甘みと香味野菜の爽やかさ、そして古代ローマの魚醤文化をオマージュしたタレを組み合わせることで、老若男女に愛される国民的洋食へと進化させたのです。